全くもって、
私は自分の作っているものに満足がいかないのだ。
映画が変わるには私が変わらなければならない。
私が変わるということは、私の肉体が変わるということだ。
腕がもう一本生えたり、あるいは減ったりとか、そういったことだ。
もっとクラッシュしなければならない。
私はおとなしすぎる。
ストイックということではない。
奴は常に私の予想と期待を裏切っていく。
私のスピードが足りないのだ。
もっとクラッシュ。
単車の上で、半裸の私の胸に斜めの線をいれる。
これですこしはましになったかな。
ブリキの羽が生えそうだ。
こんなもの、夢だかなんだか分からない。
区別の付く奴は阿呆だ。
いいか、クラッククラッククラック、三回音がする、私の脳の右上の空間で、三回音がする、それが合図だ、するとオルガンが一個変成する、つまり地球上で独り人間が変成する。
死ぬといってもいい。
私の腹のなかで、今地球が回転しているから。
ほら、見て見ろ、ちょうど腹の部分が脇腹だけで上と下がつながって、真ん中は地球で、宙に浮いた青い惑星が回転しているだろう、CDのジャケットみたいに。
ふん、私が病気だって?
私を病院に入れるつもりだろう、知ってるぞ、あそこは恐ろしいところだ、何度も夢に見た、私は知っている、私を裸にして冷たい暗い牢屋に放り入れて、鉄格子の間からみんなでやりで突き刺すつもりなんだろう、
いや、それならまだマシだ。
最低なのは、私を病院に押し入れて、みんなで社会に帰っていくことだ。
私が病院で立派に治療されて、平和平和、君のためだよって、善人ヅラして、冗談じゃない、
あれはただの拷問だ。
いいか、人が病気になるのは、人が病気にさせるからだ、(「この人は病気だから、仕方がないんだよ」)イマジナシオン軍が勝手に決めたことだ、あいつらの領土を保全するために!
そうはいくか。
病院は悪夢だ。
病院の地下には秘密の通路があって、イマジナシオン軍とつながっているのだ。
冗談じゃない。
私を殺すのでもなく、君のためだよって、仲良く手をつないでより良い社会のためなんだよって、私を病院に閉じ込めて、貴様ら、それで罪の意識から逃げているつもりか。
いや、逃げているということにすら気付かない。
洗脳されてしまっているのだ。
巨大の言語経済コンツェルンの陰謀だ。
もちろん、そんなものは存在しない、監視塔の上には本当は看守なんていないように、だから恐ろしいのだ!
本当の看守は貴様らなのだ。
看守は貴様ら自身なのだ。
もしこの世に本当の病気があるとしたら、病気なのは貴様らのほうだ!
ふん、もちろん否定するだろうな、だが考えて見ろ、私だって否定してたさ!
だが、一度だって私の否定の言葉に貴様らが耳を傾けたことがあったか?
いいさ、勿論私は病気だ、だが私の病気は絶対回復不可能の病なのだ。
治らない病に犯されたものを、病院に入れてどうするのだ?
まさか君の苦しみを少しでも和らげたい、なんて言うんじゃないだろうな。
それなら真っ先に貴様が死んでくれ、たのむから。
オルガン、オルガン。
ははは、
私が優れているとすれば、それは私の病気が治らないということだ。
私は交換の経済から疎外されてしまったのだ、つまり、私の病気が!
本当のものは、不可逆的なものの中にだけある(記憶のように!)。
私の病気は言語の経済の中に回収されないのだ。
「悪く」なる一方なのだ。
つまり、意味などないのだ。
イマジナシオン軍も手を妬く訳だ。
ザマミロ。
オルガン、オルガン、クラッシュ。
おい、そこの兵隊め、貴様のことだ、どうだ、経済圏の保全は順調かね、おい、貴様のことだって、は! 兵隊の自覚すらないのだ! 市民だと思ってやがる! 人殺しのくせに! 眠りながら引鉄を引いてるくせに、善人ヅラしてやがる!
クラッシュ。
少しづつスピード。
スピードに意味なんてないが、レッテルを貼って効能とか害毒とか書き付けると、それが病気になる、
それで病院に放り込まれる。
聞いてんのかよ、おまえのことだよ!
は! 誰か他の奴が私をしょっぴいて、病院に入れてくれると思ってるのか?
たまには自分で手を下したらどうなんだ!
自分の手で私を殺してみろよ。
病人はムカついてならないんだろ?
知ってるんだよ。
私だっておまえがムカついてならないもんな。
いいんだよ、
やればいいんだよ、
やらないんだったら私が殺すぜ。
ヤレヤレヤレ、
スピード、
あと一歩、
オルガンが変わっていく、
クラッシュしなければ、
もっとクラッシュしなければ、
は、ほら、ブレードをむいた、
あと一歩だ、
無意識がビューンとカーブして私の脳につき刺さるぜ、おまえの脳にも付き刺さるといいな、
私はクラッシュ、
私はスピードを恐れない、
ほら、ほら、あと一歩、
は!
「私が殺しました。」


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